咲き誇る桜色を求めて

春の空にむかって咲き誇る桜。純潔を思わせる白い花は次第に淡く色づき、花嫁の頬のような桜色に変わります。

イエローゴールドよりもやさしく、ピンクゴールドよりもほのかで、プラチナよりも温かいプレシャスメタル。そして、どんな時も自然に着用できる強さと、肌色になじむ奥ゆかしい輝きをもつ素材。こんな理想を求めて、MIORINGの匠は配合と製法を一から吟味しました。
素材の純度は、数百年を超えても輝きを失わず、高い耐久性を備える国際基準の18金（K18）。この品位を落とすことなく、これまでの貴金属の特性を超えるための試行錯誤を繰り返しました。

わずか1％の配合の違いが貴金属の発色や性質に大きく影響します。硬さ、しなやかさ、美しさだけでなく、年月を経た際の変化や変色への耐久性、アレルギーの起こりにくさなど、様々な条件をクリアする理想の組み合わせを試行錯誤。膨大な試験と検査を受け、はじめてMIORINGの素材に加わりました。

炎の中で生まれる

摂氏1064度。燃えさかる高温の炎の中で金は熔け、液体になります。一般的な18金はこの温度帯で配合されますが、桜ゴールドを生成するためにはまだ足りません。1800度以上、白金族さえ液体になる超高温を作りだすために、強制的に酸素を送り込みます。

綿密に配合された貴金属は「るつぼ」の中で炎を浴びます。青い炎と熱を均一に回しながらそれぞれの素材の熔解を見極め、全てが一つになったその瞬間、鋳鉄の容器に一気に流し込むことで、複数の素材は桜ゴールドとして生まれ変わります。

秘伝の配合と炎を自在に操る技、そして素材と対話できるほどの経験。工房でも限られた人間にしか許されず、配合できるクラフトマンは国内にわずか3名のみ。当然ながら大量生産は叶わず、一日に生成できる桜ゴールドはせいぜい指輪数本分です。素晴らしい色彩のゴールドは膨大な時間と技とをひきかえに誕生します。

鍛えぬかれて花開く

極めて少量しか精製することのできない桜ゴールドは、その希少性と硬さゆえに「鍛造（たんぞう）製法」でなければ加工することができません。中でも選ばれる手法は、欧州のリングを中心に使用される機械加工の「型鍛造」ではなく、日本刀づくりのような古来伝統の「自由鍛造（じゆうたんぞう）」です。

素材が赤い光を放つまで熱しては、叩く。この作業を何度も繰り返し、手作業で指輪の形に近づけます。
佇まいが美しいか、指のカーブと合っているか、一緒に使う指輪と重なるか。クラフトマンは人の目と肌でなければ判断することのできない「指との一体感」を時間をかけて追い求めます。

叩いて曲げるだけでは表現することのできないウェーブや曲線を表現するために、手作業での削り出しを敢行。現代ではめったに見ることのできない鍛造のカーブリングは、実際にほとんど行われることのない工程を経て製作されます。

鍛えあげられた素材は密度が高まり、原子が絡み合うことで硬化して強靭に育ちます。耐久性が高まるのはもちろんのこと、硬さはすなわち強い輝きにつながります。自然界で最も硬いダイアモンドが驚くべき光沢をみせるように、硬く強く作られた桜ゴールドは素晴らしい輝きを放つようになります。
繊細な曲線の美しさと硬さ、強い輝きは、限られた製法でしか加工を許さない桜ゴールドが持って生まれた宿命です。

「美しくしなやかに、強く。」私達の奥深くにある想いを象徴する、特別な素材です。